居住用不動産の3,000万円特別控除とは?

居住用不動産の3,000万円特別控除とは?

居住用不動産の3,000万円特別控除とは、居住用財産を売却した場合に、一定の要件に満たせば譲渡益から3,000万円を控除することができる特例です。

したがって、この特例の適用を受けられる方が相続して売却すると税務上のメリットがありますので、相続不動産を売却する際に、遺産分割の仕方に注意が必要です。
なお、この特例の適用を受けるためには、税金がゼロでも、翌年の3月15日までに確定申告する必要があります。


[注意点]

①居住用不動産の3,000万円特別控除特例の適用を受けた場合には、住宅ローン控除や買換えの特例は受けられません。
②配偶者や直系卑属(お子様等)等へ売却する場合には適用できません。
③居住用家屋の所有者とその敷地の所有者が異なる場合には、一定の要件を満たす必要があります。(措置法通達31の3-19 )

居住用家屋とは?

居住用家屋は、その人が生活の拠点として利用している家屋(一時的な利用を目的とする家屋を除く。)をいいます。
これに該当するかどうかは、その人及び配偶者などの日常生活の状況、その家屋への入居目的、その家屋の構造及び設備の状況その他の事情を総合勘案して判定します(租税特別措置法通達31の3-2)。

転勤などで居住用不動産を利用できない場合は?

転勤、転地療養等の事情で、配偶者等と離れ単身で他に生活している場合であっても、その事情が解消したときはその配偶者等と起居を共にすることになる場合には、その配偶者等が居住している家屋は、その人にとっても、その居住のように供している家屋に該当します(租税特別措置法通達31の3-2)。

なお、居住の用に供している家屋を2つ以上所有することとなる場合には、その人が主としてその居住の用に供していると認められる一つの家屋のみが、3,000万円特別控除の特例の対象になります。

敷地のうちに所有期間の異なる部分がある場合は?

回答

居住用土地のみの譲渡でも特例の適用はあるか?

家屋を取り壊し、その家屋の敷地の用に供されていた土地を譲渡した場合において、その譲渡した土地が次に掲げる要件の全てを満たすときは、居住用財産に該当するものとして3,000万円控除の特例の適用を受けることができます(租税特別措置法通達35-2)。

①土地の譲渡に関する契約が家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、その家屋をその居住の用に供さなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡したものであること。

②家屋を取り壊した後譲渡に関する契約を締結した日まで、貸付けその他の用に供していないものであること。

生計を一にする親族が居住している家屋にも特例の適用はあるか?

所有者が居住の用に供している家屋でない場合であっても、下記の要件の全てを満たしているときは、その家屋はその所有者にとって「その居住の用に供している家屋」に該当するものとして、3,000万円控除の特例の適用を受けることができます(租税特別措置法通達35-2)。

①所有者が従来その所有者としてその居住の用に供していた家屋であること。
②所有者が当該家屋をその居住の用に供さなくなった日以後引き続きその生計を一にする親族の居住の用に供している家屋であること。
③当該家屋をその居住の用に供さなくなった日以後において、他の居住用不動産に関する特例を受けていないこと。
④その所有者の居住の用に供している家屋は、当該所有者の所有する家屋でないこと。

※生計を一にする親族とは?
①勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、下記の要件に該当するときは、これらの親族は生計を一にする親族に該当します(所得税法基本通達2-47)。
(1)日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合

(2)親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合

②親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。

店舗兼住宅の居住部分の判定方法は?

居住用部分と非居住用部分の判定は、当該建物の相続税評価額の比で算定します。
相続税評価額とは、固定資産税評価額を示します(国税不服審判所昭和53年3月15日裁決)。

店舗等部分の割合が低い家屋の取り扱いは?

店舗兼住宅の建物で、住宅部分割合がおおむね90%以上である場合には、その店舗兼住宅の全部が居住用不動産に該当するものとして3,000万円控除の特例の適用を受けることができます(租税特別措置法通達31の3-8)。

 

居住用家屋を共有とするための譲渡でも適用できるか?

居住用家屋を他の者と共有にするため譲渡した場合又は共有持分の一部を譲渡した場合には、3,000万円控除の特例の適用は受けられません(租税特別措置法通達31の3-11)。

居住用家屋の敷地の一部の譲渡の場合でも特例を適用できるか?

居住用家屋の敷地の用に供されている土地の一部を区分して譲渡した場合、その家屋の譲渡と同時に行われたものであるときは、3,000万円控除の特例を適用することができます(租税特別措置法通達31の3-18)。

居住用家屋の所有者とその敷地の所有者が異なる場合は?

居住用家屋の所有者とその敷地の所有者が異なる場合でも、下記の要件の全てを満たしている場合には、3,000万円控除の特例の適用を受けることができます(租税特別措置法通達31の3-19)。

①譲渡敷地は、譲渡家屋とともに譲渡されているものであること。
②譲渡家屋の所有者と譲渡敷地の所有者とが親族関係を有し、かつ、生計を一にしていること。
③譲渡家屋は、当該家屋の所有者が譲渡敷地の所有者とともにその居住の用に供している家屋であること。

住民票の写しの添付ができない場合

居住用不動産を譲渡した人が、その不動産の所在地を管轄する市区町村の住民基本台帳に登録されていないため、3,000万円控除の特例の適用を受けるための確定申告書へ住民票の写しの添付することができない場合でも、下記の書類を確定申告書に添付したときには、確定申告書に当該住民票の写しの添付があったものとして取り扱うことができます(租税特別措置法通達31の3-26)。
 

①戸籍の附票の写し(当該譲渡をした日から2か月を経過した日後に交付を受けたものに限る。)
②不動産の所在地を管轄する市区町村の住民基本台帳に登録されていなかった事情の詳細を記載した書類
③その不動産に居住していた事実を明らかにする書類(公共料金の領収書、郵便物など)

同一年中に居住用財産を2回譲渡した場合、特例の適用はあるか?

居住用のA住宅を売却し、同年中にB住宅を取得して直ちに居住の用に供しました。

しかし、同年中にそのB住宅を売却しました。
 
この場合、A・B双方について居住用不動産の3,000万円控除の特例を適用できます(国税庁質疑応答)。
ただし、控除額は3,000万円が限度となります

相続人が被相続人の居住用不動産を譲渡する場合にも特例は適用されるか?

相続人が被相続人の居住用不動産を売却する場合に、居住用不動産の3,000万円控除の特例の適用を受けるためには、相続人が所有者として居住の用に供したことがある建物でなければなりません(国税庁質疑応答)。

したがって、相続人が被相続人の生前に居住してことがある建物でも、所有者として居住したことがない建物の場合、特例の適用を受けることはできません。

扶養親族が居住している相続家屋にも適用できるか?

【事案概要】
甲は社宅に住んでおり、扶養親族である妻と子は父親所有の家屋に居住しております。
父親が死亡し、甲がその家屋を相続し、すぐに売却した場合、居住用不動産の3,000万円特別控除の適用を受けられるか?

【回 答】
甲は所有者として父親所有であった家屋に居住したことがないので、居住用不動産の3,000万円特別控除の適用を受けることはできません(国税庁質疑応答)。

 

共有の建物とその敷地を売却した場合の取り扱いは?

【事案概要】
甲所有の土地上に、甲と乙の共有建物があり、その建物には、甲は居住していますが、乙は別の建物に居住しています。この家屋と敷地を譲渡した場合、甲は、建物の共有持分とその敷地の全部について、居住用不動産の3,000万円特別控除の適用を受けられますか?

【回 答】
甲所有の土地は、甲がその全部を居住の用に供している建物の敷地ですので、建物は共有であっても、その土地の全部を居住用家屋の敷地として取り扱うことができます。
したがって、甲所有の建物(甲持分)とその敷地の全部について、居住用不動産の3,000万円特別控除の適用を受けることはできます(国税庁質疑応答)。

居住用財産の特別控除の特例の適用を撤回できるか?

一度適法に居住用財産の3,000万円控除の特例の適用を受けたものについては、その撤回はできません(国税庁質疑応答)。

居住用財産の譲渡契約を締結した後、代金決済を行う前に死亡した場合の取り扱いは?

【事案概要】
母が、居住用不動産の譲渡契約を締結した後、代金決済前に、母が死亡しました。
この場合、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円控除の特例の適用を受けることはできるのでしょうか?


【回 答】
居住用不動産の譲渡契約の効力発生の日(通常は契約締結の日)を譲渡日として申告する場合(所得税法基本通達36-12)、つまり被相続人である母の譲渡所得として申告するときは、居住用財産の3,000万円控除の特例の適用を受けることができます(国税庁質疑応答)。

住宅ローン控除との併用はできますか?

居住用財産の3,000万円控除の特例は、住宅ローン控除との併用はできません。
しかし、下記の様なケースでは適用することができます。

【事案概要】
甲(夫)所有の居住用家屋と乙(妻)所有の敷地をともに譲渡したが、家屋の譲渡益が出なかったため、乙について3,000万円の特別控除の特例を適用したいと考えています。
この場合、甲は、新たに取得する家屋について、住宅借入金等特別控除を適用することができますか?

【回 答】
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円控除の特例は、家屋の所有者とその敷地の所有者が異なる場合には、一定の要件を満たせば3,000万円の特別控除額のうち家屋の譲渡益から控除しきれなかった金額は、その敷地の所有者から控除できるものとして取り扱っています。

家屋の所有者は譲渡益がなく、3,000万円控除の特例を受けることができませんので、新たに取得する家屋について住宅借入金等を有する場合には、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます(国税庁質疑応答)。

贈与直後に譲渡した場合、居住用不動産の3,000万控除の特例の適用を受けられるか?

居住用不動産を譲渡することが確定的になった後に贈与を受け、その直後に譲渡した場合には、その家屋を所有者として居住する意思を持って、客観的にもある程度の期間継続して生活の本拠としていたと認められませんので、居住用不動産の3,000万円控除の特例を受けることができません(国税不服審判所平成22年6月24日裁決)

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